妊娠中、産後に大切な栄養と食事のこと

 

 管理栄養士 柴内さおり

 

 

妊娠中や産後の授乳期間中、赤ちゃんはお母さんを通じて栄養を補給しています。

 

この期間はいつもと同じ食事で良いのかな・・・と気になるところですよね。

 

今回は妊娠中と産後の授乳期に大切にしたい栄養と食事のポイントについてお伝えします。

 

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■妊娠中、産後に大切な栄養素

 

妊娠中や産後であっても基本的に必要な栄養素は変わりません。

 

お母さんと赤ちゃんがより健康でいるために、おすすめの栄養素をいくつか挙げてみました。

 

●葉酸

 

赤ちゃんが脳や神経を作るのに必要な栄養素。

 

妊娠初期では神経管閉鎖障害の発症リスクを低減したり、

 

造血ビタミンともいわれているので、貧血を防ぐためにもしっかり摂りましょう。

 

産後の子宮回復にも効果的です。

 

【おすすめ食材】緑黄色野菜、焼きのり

 

 

●鉄

 

鉄が不足すると、血液中のヘモグロビンの生成が妨げられ、

 

鉄欠乏性貧血の原因となります。母乳は血液からつくられているので、

 

妊娠、授乳期ともに血液のもととなる鉄を積極的に摂っていきましょう。

 

【おすすめ食材】肉、魚、小松菜、ほうれん草

 

 

●カルシウム

 

お腹の赤ちゃんの骨や歯を形成するために、

 

胎盤を通してお腹の赤ちゃんに与えられます。

 

また、母乳を通しても赤ちゃんにカルシウムが与えられるので、

 

妊娠・授乳期は、お母さんの体や骨の健康のためにも、普段より多くのカルシウム摂取の必要があります。

 

【おすすめ食材】乳製品、干しエビ、煮干し、切り干し大根

 

 

【たんぱく質】

 

お母さんやお腹の赤ちゃんの体をつくるもととなる栄養素。

 

産後体の回復を促すためにも、日頃からしっかりとっておきましょう。

 

【おすすめ食材】肉、魚、大豆製品

 

 

 

妊娠中の食事のポイント

 

・腸内環境を整える

 

 妊娠中はホルモンのバランスやストレスなど様々な要因が重なって、

 

便秘になりやすくなります。食物繊維や乳酸菌、

 

発酵食品などを意識して摂るようにしましょう。

 

【おすすめ食材】ごぼう、オクラ、海藻、ドライプルーン

 

 

 

・無理な食事制限はしない

 

 「体重を増やしたくない」、「検診で体重が増えすぎていると言われたから」と、

 

食事を抜いたり、脂質を控えすぎたりすると、あらゆる不調の原因につながってしまいます。

 

食べすぎたなと思ったら少し多めに歩いたり、体重の増加につながりやすい夕食は

 

軽めにするなど、できるときにできる範囲で、無理をしないのが大切です。

 

 

 

産後の食事のポイント

 

 

・まごはやさしい

 

 ま(豆)ご(胡麻)わ(わかめ→海藻類)や(野菜)さ(魚)し(しいたけ→きのこ類)い(いも類)

 

日本で古くから食べられてきた健康な食生活に役立つ和の食材の

 

頭文字を覚えやすく言いあらわしたものです。

 

これらの食材を意識して摂ると、母乳育児に不可欠なたんぱく質やミネラル、

 

不足しがちな食物繊維が摂れ、栄養のバランスが整いやすくなります。

 

脂質が抑えられるのも産後の嬉しいポイントです。

 

 

 

・甘いものや脂っこいものを食べすぎない

 

疲れが出ると甘いものが欲しくなったりしますが、

 

産後にケーキやクッキーなどの甘いものやスナック菓子、

 

揚げ物などの脂っこいものを食べすぎると、

 

乳腺が詰まりやすくなり乳腺炎の原因になることがあります。

 

個人差があり、たくさん食べても乳腺炎にならない場合もありますが、

 

体形を元に戻していくためにも控えめにしておくのがベターです。

 

間食には洋菓子より和菓子や小魚入りのナッツ、ドライフルーツがおすすめですよ。

 

 

 

 

最後に

 

妊娠中から産後にかけては体調だけではなく、

 

気持ちにも波が出やすい時期です。気分が悪く食べられない日があったり、

 

忙しくて自分の食事にまで手が回らない、なんてこともあるでしょう。

 

まずはお母さんの心と体が健やかであることが大切です。

 

毎日きちんとやらなくちゃと思うと、ストレスになってしまうので、

 

できるところから始めてみてください。

肌と栄養、食事について

 

管理栄養士 水澤 美菜子

 

 

美肌のために何を選びますか?

 

「肌トラブルを改善し美肌になりたい!」そのために皆さんは何を選びますか?

 

サプリメント、美容液、野菜をたくさん食べる・・・

 

美肌に良いとされる成分や栄養をたっぷり摂ることで、

 

改善することもありますが、取り入れ方を間違うと、改善しないどころか悪化してくることも。

 

実は、そんな間違いをしていたのがかつての私です。

 

20歳前後、管理栄養士を目指して栄養学を学んでいるはずの私は、なかなかニキビが治らない・・

 

という悩みを抱えていました。

 

 

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肌に関する情報に振り回されていました

 

調べると、ニキビは油分の多い食事が原因になりやすい。

 

そのため、揚げ物やチョコレート、ナッツ類、油の多い肉はなるべく食べないようにしていました。

 

反対に、美容のために摂ると良いと言われる、野菜、大豆製品、果物、ヨーグルトなどをせっせと食べていました。

 

美肌と言えば「コラーゲン」を補給したほうが良いのでは・・とコラーゲンドリンクやサプリメントを試したこともありました。

 

その結果、健康的に見える食事をしているのに、なぜかニキビは一向に治らない。

 

治っても次々できるので、ニキビ跡も気になる・・・という状態のままだったのです。

 

極端な食べ方で、栄養が偏る

 

たんぱく質を大豆製品に頼りすぎていたため、肉や魚、卵などの動物性たんぱく質を食べる量が少なくなっていました。

 

そのため、軽度の貧血になっていました。

 

貧血であるということは、酸素が細胞に行きわたりにくく、新陳代謝が悪くなってしまいます。

 

血行も良くないため、乾燥しやすく老廃物が溜まりやすくなり、ニキビが治りにくい環境になっていたのです。

 

また、ビタミン豊富な野菜はたくさん食べれば食べるほど良いと信じ、野菜料理を毎食たっぷり食べました。

 

野菜に多く含まれる食物繊維は腸を健康に保つため、血糖値やコレステロール値を正常に保つために必要な成分です。

 

しかし、摂りすぎるとビタミンやミネラルの吸収を妨げてしまったり、便の水分が減ってしまい便が硬くなり便秘になることもあります。

 

私はまさにこの状態だったのです。野菜や玄米ご飯を好んで食べていた(体に良いものを食べていると思っていた)のに、

 

常に便秘がちになり、腸内環境が悪くニキビが出来やすくなる条件がまたひとつ揃ってしまったのです。

 

 

サプリメント、機能性成分は食事をバランスよく摂ってから

 

私が、美肌効果を求めて飲んでいた「コラーゲン」ですが、原料は豚や魚の皮など。

 

つまり、動物性のたんぱく質です。食事では肉や魚など動物性のたんぱく質を減らして大豆製品ばかり食べていたのに、

 

サプリメントとして動物性のものを摂りいれていたという、おかしな食べ方になっていました。

 

それに気づくことができ、コラーゲンは一旦やめ、動物性のたんぱく質も適度に食べることを意識するようになりました。

 

コラーゲンについては国立健康・栄養研究所が、“コラーゲンに頼ることで、

 

摂り入れるアミノ酸のバランスに偏りが出る可能性がある”としています。

 

また、“肌や関節のためにコラーゲン食品を食べることは)「コラーゲンの材料であるアミノ酸を食べた」ことにはなりますが、

 

そのアミノ酸が再び体内でコラーゲンに再合成されるかどうか、

 

また、再合成に利用される場合であっても、「顔の皮膚」「膝の関節」等という「期待する特定の部位」で

 

再合成が行われるかどうかは、定かではないと考えられる”としています。

 

コラーゲンは肌にとって万能、それだけを摂っていれば良いという訳ではなく、

 

肉や魚や卵などのたんぱく質も摂った上で強化する形での摂取が望ましいのです。

 

 

自分が食べているものを見直すことから

 

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サプリメントや栄養補助食品のパッケージには、

 

「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」と記載されています。

 

私も「体に良さそうなもの」に頼り、「摂り過ぎ」「栄養の偏り」という失敗を経験したからこそ、

 

基本となる食事のバランスの大切さを実感しています。現在はニキビや乾燥肌、貧血も改善しました。

 

美肌や健康のためには、急がば回れ、でご自分の食事を振り返ってみましょう。

 

 

 

参考文献

独立行政法人 国立健康・栄養研究所

「健康食品」の安全性・有効性情報

 

http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail2204.html

正しく知ろう!食物アレルギーなんてこわくない!

 

管理栄養士 大熊麻未

 


■食物アレルギーとは


平成13年より、加工食品へのアレルギー表示が義務化されました。


これにより、すべての方が食物アレルギーを身近に感じる良い機会となりました。


食物アレルギーは、特定の食物によって免疫システムが過敏に働き、

体にとって不利益な症状があらわれる病気(牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする

乳糖不耐症や食中毒とは別のものです)で、子供から大人まで幅広い世代でみられるます。

日本では全世代の1~2%の方がこの病気を持っていると推定されていますが、

食物アレルギーは研究が発展段階におり、データが整い始めたばかりで

断定できる数字がないのが現状です。

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厚生労働省の研究によると、子供、特に乳児(1歳以下)に多く、

おおよそ10人に1人が発症していると報告されています。

さらに6歳以下で発症したものは比較的治りやすく、

3歳までに約半数、小学校入学までに8~9割が治ったという報告もあります。


食物アレルギーは、あらゆる食物(主にタンパク質)が原因となり年齢によっても異なります。


乳幼児期の原因食物(アレルゲン)は鶏卵、乳製品、小麦が多く、その約4割を鶏卵が占めています。

年齢が上がっていくと甲殻類やそばなどが出てきます。

この病気はアレルゲンが多岐に渡りますが、症状もさまざまです。

じんましんが出て皮膚がかゆくなったり、まぶたや唇が腫れたり、

下痢やおう吐することがあります。

しかし、これらの症状は程度がひどくなっても命を落とすことはありません。

様々な症状があるなかで特に注意が必要なのが、

症状が全身に現れるアナフィラキシーショックと呼ばれる状態です。

このアナフィラキシーショックは生死をさまよう状態であり、

食物アレルギーを持つ1割がこれに当てはまることから考えると、

非常に重篤になりやすい病気だということがわかります。

残念ながら、この病気には治療薬がありません。

治療の基本は、原因となる食物を食べないことです。

しかし、成長するにつれて消化吸収機能も発達し、

アレルゲンも食べられるようになると考えられています。

そのために、半年から1年ごとに受診することが重要です。

 

■食物アレルギーが発症したら・・・

食物アレルギーで大切なことは、専門の医師による正しい診断に基づいた

必要最小限のアレルゲンの除去です。

自己判断で除去食品を決めることは避けましょう。

念のために、心配だからといって、アレルゲン以外の食品まで過剰に除去してしまうのは、

成長期の子供にとって特定の栄養素の不足を招くことになります。


かつて私は、食物アレルギーと診断されて除去食を食べていました。

当時はアレルギー専門の医師が少なく、血液検査の値だけに基づきアレルゲンの診断が下されました。

鶏卵や牛乳や小麦が主なアレルゲンでしたが、

鶏卵は鶏から生まれてくるので鶏肉も除去、魚卵も『卵』と付くから除去、

牛乳は牛から出てくるので牛肉も除去、大豆でアレルギーが出る人もいるから念のため除去、

小麦由来の調味料も除去・・・と、あれもこれも除去でした。

毎日の食事を作っていた母の労力は計り知れません。


近年では、スーパーでも特定原材料不使用のパンやレトルト食品、

お菓子などを見かけるようになりました。

さらに通信販売では扱っている食品数が充実しています。

これらを利用することでメニューの幅が広がり、

そして料理をする方の負担を減らせるため非常に便利です。

この病気は、本人だけではなく家族をはじめとした周りの人にも正しい知識と理解を必要とします。

食物アレルギーだからと食事への興味を失わないように、

しっかりとサポートしてあげましょう。


参考:厚生労働省、日本小児アレルギー学会、

糖質と脂質、どちらを制限した方がダイエットには効果的?

 

管理栄養士 今多久美子

 

 

ダイエット方法は色々あり、どれが良いのか分からなくなりますよね。

 

近年話題となっているのは糖質制限ダイエット(以下、糖質制限)ですが、

 

脂質制限ダイエット(以下、脂質制限)と比べるとどうなのでしょうか。

 

そこで今回は、糖質制限と脂質制限を比べてみました。

 

 

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まずは、それぞれの方法が提唱する痩せるメカニズムです。

 

〈糖質制限〉

 

・糖質が体内に入ると血糖値(血液中のブドウ糖濃度)が上がり、インスリンが分泌。

 

インスリンは血糖値を下げる働きをするが、中性脂肪も増やす。

 

この肥満につながるインスリンの分泌を抑えるために糖質を制限。

 

・糖質が少ないと体脂肪がエネルギー源として使われ、体脂肪が減る。

 

〈脂質制限〉

 

・糖質1g当たり4kcalに対し、脂質1g当たり9kcal。脂質を制限すれば、

 

食べる量を減らさなくても摂取カロリーが抑えられる。

 

どちらも効果がありそうですが、実際はどうなのでしょうか。

 

ここで、糖質制限と脂質制限について2つの研究を紹介します。

 

2つともメタ解析といい、複数の研究データを集めてまとめたもので信頼性が高い研究です。

 

 

研究1【糖質制限と脂質制限におけるダイエット効果と健康への影響】

 

結果は、糖質制限の方が体重減少が大きかったです。

 

ただ、悪玉コレステロールと言われるLDL-コレステロール値が増加しました。

 

 

この研究から、糖質制限の方が体重減少には効果的ですが、

 

動脈硬化の原因になるLDL-コレステロール値の増加を考慮すべきことが分かりました。

 

<栄養士アドバイス>

 

糖質制限をする場合は、必然的に脂質が増えますが、肉や乳製品に多く含まれている飽和脂肪酸に偏らずに、

 

魚や食物油に多く含まれる多価不飽和脂肪酸も摂るように心がけましょう。

 

 

研究2【糖質制限と脂質制限の長期間における体重減少の効果】

 

 

1年以上にわたる研究でも、糖質制限の方が体重減少は大きかったです。

 

ただ、脂質制限も通常の食事と比較すると、体重減少の効果が認められました。

 

<栄養士アドバイス>

 

 

脂質制限をやり過ぎてしまうと、エネルギー不足や、血管や細胞膜が弱くなり脳出血につながりやすくなります。

 

また、脂溶性ビタミン(ビタミンA,D,E,K)の吸収が悪くなり、肌荒れなどの原因になります。良質の脂質は適量摂りましょう。

 

 

糖質制限の方がダイエットには効果的な結果が出ました。

 

ただ、これ以外の研究では、脂質制限の方が効果はあった、

 

糖質制限はリバウンドが大きく脱落者も多かった、

 

両者とも効果は同じだった、という結果もあります。

 

色々な結果が出ていることは、議論の途中で、まだ良く分かっていないということでもあります。

 

ダイエットには色々な種類がありますが、誰にでも効果的なダイエットはありません。

 

体質やダイエットの目的、食事の好みなど、個人に合った方法で、長期間続けられ、

 

健康を害するものではないことが大切です。

 

 

 

参考文献

Mansoor N1, Vinknes KJ1, Veierød MB1, Retterstøl K1. “Effects of low-carbohydrate diets v. low-fat diets on body weight and cardiovascular risk factors: a meta-analysis of randomised controlled trials.’’ British Journal of Nutrition 2016 Feb 14;115(3):466-79.

Tobias DK, Chen M, Manson JE, Ludwig DS, Willett W, Hu FB. “Effect of low-fat diet interventions versus other diet interventions on long-term weight change in adults: a systematic review and meta-analysis.” Lancet Diabetes Endocrinol. 2015 Dec;3(12):968-79.

 

 

一般社団法人NS Laboでは

 

レシピや料理の開発も行っています。

 

弊社で活躍するレシピ開発が得意な管理栄養士をご紹介いたします。

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前田 由加

 

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大学卒業後、食品メーカーの営業職として勤務。

 

その後、管理栄養士としてもキャリアアップのために

 

特定保健指導業務に従事し

 

市町村や企業健保の方々の健康増進に向けた

 

栄養指導を行う。

 

また、料理教室アシスタントとして経験を積み

 

レシピ開発に携わる。

 

近年では、日本テレビ「レシピの女王シーズン4」に出場。

 

クックパッド「基本のレシピ」にレシピが掲載されるなど

 

栄養と料理の両フィールドで活躍できる人材となるよう

 

日々奮闘中。

 

<専門分野>

 

レシピ、料理開発