糖質と脂質、どちらを制限した方がダイエットには効果的?
管理栄養士 今多久美子
ダイエット方法は色々あり、どれが良いのか分からなくなりますよね。
近年話題となっているのは糖質制限ダイエット(以下、糖質制限)ですが、
脂質制限ダイエット(以下、脂質制限)と比べるとどうなのでしょうか。
そこで今回は、糖質制限と脂質制限を比べてみました。
まずは、それぞれの方法が提唱する痩せるメカニズムです。
〈糖質制限〉
・糖質が体内に入ると血糖値(血液中のブドウ糖濃度)が上がり、インスリンが分泌。
インスリンは血糖値を下げる働きをするが、中性脂肪も増やす。
この肥満につながるインスリンの分泌を抑えるために糖質を制限。
・糖質が少ないと体脂肪がエネルギー源として使われ、体脂肪が減る。
〈脂質制限〉
・糖質1g当たり4kcalに対し、脂質1g当たり9kcal。脂質を制限すれば、
食べる量を減らさなくても摂取カロリーが抑えられる。
どちらも効果がありそうですが、実際はどうなのでしょうか。
ここで、糖質制限と脂質制限について2つの研究を紹介します。
2つともメタ解析といい、複数の研究データを集めてまとめたもので信頼性が高い研究です。
研究1【糖質制限と脂質制限におけるダイエット効果と健康への影響】
結果は、糖質制限の方が体重減少が大きかったです。
ただ、悪玉コレステロールと言われるLDL-コレステロール値が増加しました。
この研究から、糖質制限の方が体重減少には効果的ですが、
動脈硬化の原因になるLDL-コレステロール値の増加を考慮すべきことが分かりました。
<栄養士アドバイス>
糖質制限をする場合は、必然的に脂質が増えますが、肉や乳製品に多く含まれている飽和脂肪酸に偏らずに、
魚や食物油に多く含まれる多価不飽和脂肪酸も摂るように心がけましょう。
研究2【糖質制限と脂質制限の長期間における体重減少の効果】
1年以上にわたる研究でも、糖質制限の方が体重減少は大きかったです。
ただ、脂質制限も通常の食事と比較すると、体重減少の効果が認められました。
<栄養士アドバイス>
脂質制限をやり過ぎてしまうと、エネルギー不足や、血管や細胞膜が弱くなり脳出血につながりやすくなります。
また、脂溶性ビタミン(ビタミンA,D,E,K)の吸収が悪くなり、肌荒れなどの原因になります。良質の脂質は適量摂りましょう。
糖質制限の方がダイエットには効果的な結果が出ました。
ただ、これ以外の研究では、脂質制限の方が効果はあった、
糖質制限はリバウンドが大きく脱落者も多かった、
両者とも効果は同じだった、という結果もあります。
色々な結果が出ていることは、議論の途中で、まだ良く分かっていないということでもあります。
ダイエットには色々な種類がありますが、誰にでも効果的なダイエットはありません。
体質やダイエットの目的、食事の好みなど、個人に合った方法で、長期間続けられ、
健康を害するものではないことが大切です。
参考文献
・Mansoor N1, Vinknes KJ1, Veierød MB1, Retterstøl K1. “Effects of low-carbohydrate diets v. low-fat diets on body weight and cardiovascular risk factors: a meta-analysis of randomised controlled trials.’’ British Journal of Nutrition 2016 Feb 14;115(3):466-79.
・Tobias DK, Chen M, Manson JE, Ludwig DS, Willett W, Hu FB. “Effect of low-fat diet interventions versus other diet interventions on long-term weight change in adults: a systematic review and meta-analysis.” Lancet Diabetes Endocrinol. 2015 Dec;3(12):968-79.